岐阜地方裁判所 昭和44年(わ)24号 判決 1970年5月28日
本店所在地
岐阜県羽島郡笠松町中野二四八番地の三
株式会社 光製作所
右代表取締役
松原登士弘
本籍
岐阜県羽島郡笠松町中野二四八番地の三
住居
岐阜県羽島郡笠松町中野二五五番地の五
会社役員
松原登士弘
昭和二年三月二〇日生
右の者らに対する法人税法違反各被告事件について当裁判所は検察官高木重幸出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社光製作所を罰金五〇〇万円
被告人松原登士弘を懲役八月及び罰金一〇〇万円
に各処する。
被告人松原登士弘が右罰金を完納することができないときは金五、〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。
被告人松原登士弘に対し、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社光製作所は岐阜県羽島郡笠松町中野二四八番地の三に本店を有し、油圧部品、ヂーゼル部品の製造加工を目的とする株式会社であり、被告人松原登士弘は同会社代表取締役であるが、被告人松原登士弘は同会社取締役である松原秀雄と共謀のうえ、同会社の業務に関し法人税を免れようと企て、同会社の材料屑である黄銅屑等の売上を帳簿に計上せず、あるいは材料費を帳簿に架空計上するなどにより簿外の預金を作り、同資金で簿外の機械を取得するなどの不正行為によりその所得の一部を秘匿したうえ
一、昭和三九年一二月一日から昭和四〇年一一月三〇日までの事業年度における被告人会社の所得金額は一、三八三万九、三一二円であり、これに対する法人税額は四九四万〇、四〇〇円であるのにかかわらず、昭和四一年一月三一日所轄岐阜南税務署において同税務署長に対し、同会社の同事業年度における所得金額は一五〇万五、一一五円その法人税額は四六万六、五八〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて、同会社の同事業年度における法人税額四四七万三、八〇〇円を免れ
二、昭和四〇年一二月一日から昭和四一年一一月三〇日までの事業年度における被告人会社の所得金額は一、三三四万八、六二三円でありこれに対する法人税額は四五〇万〇、七〇〇円であるのにかかわらず、昭和四二年一月三一日所轄岐阜南税務署において、同税務署長に対し、同会社の同事業年度における所得金額は三五八万八、八〇七円その法人税額は一〇〇万五、二〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて、同会社の同事業年度における法人税額三四九万五、五〇〇円を免れ
三、昭和四一年一二月一日から昭和四二年一一月三〇日までの事業年度における被告人会社の所得金額は五、九六五万七、六七四円であり、これに対する法人税額は二、〇四一万三、〇〇〇円であるのにかかわらず、昭和四三年一月三一日所轄岐阜南税務署において、同税務署長に対し、同会社の同事業年度における所得金額は一、五九一万二、九六一円、その法人税額は五一一万四、二〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同会社の同事業年度における法人税額一、五二九万八、八〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
判示全般の事実について
一、被告人の当公判廷における供述
一、被告人の検察官に対する供述調書
一、被告人の大蔵事務官に対する昭和四三年四月二五日付、同月二六日付、同年七月五日付、同年八月一四日付、同年九月一六日付、同年一〇月二八日付、同月二九日付、同年一一月一一日付各質問てん末書
一、被告人作成の昭和四三年一〇月三〇日付(但し枚数八枚の分)及び同年一一月一日付(但し枚数一二枚の分)各上申書
一、松原秀雄の検察官に対する供述調書
一、松原秀雄の大蔵事務官に対する昭和四三年四月二六日付、同年八月一〇日付及び同年九月一八日付各質問てん末書
一、松原秀雄作成の昭和四三年一〇月二五日付、同年一一月二日付及び同月八日付各上申書
一、戸谷登一(二通)、渡辺篤一、伊藤義一、大塚民夫、岩田正勝、谷田定一、及び石田正男の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、戸谷登一、伊藤行夫(枚数九七枚の分)、大塚民夫、曾根栄造、西岡寅之助、栗本文市、石田正夫、林田修各作成の上申書
一、十六銀行竹屋町支店長作成の証明書
一、十六銀行笠松支店長作成の証明書(定期預金記入帳兼印鑑票により作成したもの)
一、大蔵事務官作成の調査報告書
一、押収してある領収証請求書一綴(証第五号)
一、同銀行勘定帳一冊(証第一五号)
一、同タライ粉計算書綴一綴(証第一七号)
一、同新日本工機見積書等雑書類綴一綴(証第三二号)
一、同光製作所取引明細原稿一綴(証第三三号)
判示冒頭の事実について
一、登記官作成の登記簿謄本
判示第一の事実について
一、被告人作成の昭和四三年一〇月三〇日付上申書(枚数三枚の分)
一、岐阜南税務署長作成の昭和三九年一二月一日から昭和四〇年一一月三〇日までの分の法人税申告書写についての証明書
一、木下光男作成の上申書
一、東海銀行大阪支店長作成の証明書
一、東海銀行笠松支店長作成の証明書(普通預金元帳原本写)
一、十六銀行金山支店長作成の証明書
一、十六銀行笠松支店長作成の証明書(定期預金記入帳兼印鑑票写)
一、十六銀行笠松支店長作成の証明書(普通預金元帳写、普通預金印鑑票写及び普通預金元帳により作成したもの)
一、押収してある総勘定元帳一綴(証第一号)
一、同領収証請求書一綴(証第四号)
一、同得意先元帳一綴(証第七号)
一、同売上元帳一綴(証第九号)
一、同仕入先元帳一綴(証第一一号)
一、同仕入先元帳一冊(証第一三号)
一、同銀行勘定帳一冊(証第一四号)
一、同仕入帳二綴(証第一八号及び証第一九号)
一、同請求書控一冊(証第二三号)
一、同商品出入帳二冊(証第三四号及び証第三五号)
一、同売上仕入帳一冊(証第三八号)
一、同仕入帳二冊(証第三九号及び証第四〇号)
判示第二の事実について
一、被告人作成の昭和四三年一一月一日付上申書(枚数四枚の分)
一、岐阜南税務署長作成の昭和四〇年一二月一日から昭和四一年一一月三〇日までの分の法人税申告書写についての証明書
一、木下光男、杉山三郎、中西与曾次、森正子各作成の上申書
一、東海銀行笠松支店長作成の証明書(定期預金並定期預金印鑑伝票写)
一、東海銀行笠松支店長作成の証明書(普通預金元帳原本写)
一、十六銀行大曾根支店長作成の証明書
一、十六銀行笠松支店長作成の証明書(普通預金元帳写、普通預金印鑑票写及び普通預金元帳により作成したもの)
一、十六銀行笠松支店長作成の昭和四三年七月三一日付証明書(自動継続定期預金記入帳兼印鑑票により作成したもの)
一、押収してある総勘定元帳一綴(証第二号)
一、同納品書一綴(証第六号)
一、同得意先元帳二綴(証第七号及び証第八号)
一、同仕入先元帳一綴(証第一一号)
一、同仕入先元帳一冊(証第一二号)
一、同銀行勘定帳一冊(証第一四号)
一、同仕入帳二綴(証第一九号及び証第二〇号)
一、同商品出入帳二冊(証第三五号及び証第三六号)
一、同仕入帳二冊(証第三九号及び証第四一号)
判示第三の事実について
一、被告人の大蔵事務官に対する昭和四三年八月二〇日付質問てん末書
一、被告人作成の昭和四三年一〇月二八日付、同月三〇日付(枚数三枚の分)及び同年一一月一日付(枚数四枚の分)各上申書
一、松原秀雄の大蔵事務官に対する昭和四三年九月一七日付質問てん末書
一、松原秀雄作成の昭和四三年一一月五日付上申書
一、松原豊司及び清水正義の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、宮脇和夫、伊藤行夫(枚数五〇枚の分)、杉山三郎、中西与曾次各作成の上申書
一、東海銀行笠松支店長作成の証明書(定期預金元帳原本写)
一、十六銀行登松支店長作成の昭和四三年一一月四日付証明書(自動継続定期預金記入帳兼印鑑票写)
一、十六銀行笠松支店長作成の証明書(通知預金印鑑票の写並びに通知預金元帳より抜書したもの)
一、十六銀行笠松支店長作成の証明書(自動継続定期預金記入帳兼印鑑票により作成したもの)
一、十六銀行笠松支店長作成の証明書(通知預金記入帳写)
一、岐阜南税務署長作成の昭和四一年一二月一日から昭和四二年一一月三〇日までの分の法人税申告書写についての証明書
一、押収してある総勘定元帳一綴(証第三号)
一、同納品書一綴(証第六号)
一、同得意先元帳一綴(証第八号)
一、同売上帳一冊(証第一〇号)
一、同仕入先元帳一冊(証第一二号)
一、同銀行勘定帳一冊(証第一六号)
一、同仕入帳一綴(証第二〇号)
一、同仕入帳一枚(証第二一号)
一、同売上メモ二枚(証第二二号)
一、同納品複写簿一綴(証第二四号)
一、同領収証及び請求書綴一綴(証第二五号)
一、同領収証及び請求書綴一綴(証第二六号)
一、同末払金明細一綴(証第二七号)
一、同請求書及び領収証一綴(証第二八号)
一、同領証及び請求書一綴(証第二九号)
一、同工事請負契約書一綴(証第三〇号)
一、同割出表ほか雑書類一綴(証第三一号)
一、同商品出入帳二冊(証第三六号及び証第三七号)
一、同仕入帳一冊(証第四一号)
(法令の適用)
被告人株式会社光製作所の判示第一ないし第三の各所為は、いずれも法人税法第一六四条第一項、第一五九条第一項に各該当するところ、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四八条第二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で同被告人を罰金五〇〇万円に処し、被告人松原登士弘の判示第一ないし第三の各所為はいずれも法人税法第一五九条第一項に各該当するので、所定刑中いずれも懲役と罰金との併科刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、その懲役刑につき同法第四七条本文、第一〇条により、犯情の最も重いと認められる判示第三の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑につき同法第四八条第二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で同被告人を懲役八月及び罰金一〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法第一八条により金五、〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置し、情状により同法第二五条第一項を適用して、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 小島裕史)